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法人会の令和5年度税制改正に関する提言の主な実現事項

法人会の令和5年度税制改正に関する提言の主な実現事項

 令和5年度税制改正では、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化が行われるとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置が講じられました。また、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、グローバル・ミニマム課税の導入及び資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築が行われました。加えて、自動車重量税のエコカー減税や自動車税等の環境性能割等の見直し、租税特別措置については、それぞれの性質等に応じ適切な適用期限が設定されました(令和5年度税制改正大綱より)。

法人会では、昨年9月に「令和5年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。今回の改正では、中小企業向け税制措置の適用期限延長、インボイス制度の負担軽減措置等、法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。

[法人課税]

1.法人税率の軽減措置

法人会の提言

改正の概要

・中小法人に適用される軽減税率の特例15%を本則化すべきである。ま

た、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。なお、本制度は令和5年3月末日が適用期限となっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は適用期限を延長する。

・中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限が2年延長されました。

 

2.中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置

法人会の提言

改正の概要

・中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設

備」を含める。なお、それが直ちに困難な場合は、令和5年3月末日と

なっている適用期限を延長する。

・中小企業投資促進税制について、対象資産の見直しが行われた上で、適用期限が2年延長されました。

 

3.中小企業等の設備投資支援措置

法人会の提言

改正の概要

・中小企業経営強化税制(中小企業等経営強化法)や、中小企業が取得す

る償却資産に係る固定資産税の特例(先端設備等導入制度)等を適用するに当たっては、手続きを簡素化するとともに、事業年度末(賦課期日)が迫った申請や認定について弾力的に対処する。なお、「中小企業経営強化税制」「固定資産税の特例」「中小企業防災・減災投資促進税制」「デジタルトランスフォーメーション投資促進税制」は、令和5年3月末日が適用期限となっていることから、適用期限を延長する。

・中小企業経営強化税制、中小企業防災・減災投資促進税制、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制については、一定の見直しが行われた上で、適用期限が2年延長されました。

 また、先端設備等に係る固定資産税の特例措置が見直され、中小事業者等の生産性向上や賃上げの促進に資する設備投資に係る固定資産税の特例措置が創設されました。

 

[消費税]

1.インボイス制度

法人会の提言

改正の概要

・インボイス制度を実施するのであれば、国は事業者に混乱が生じないよう制度の周知を徹底するとともに、事務負担が軽減するような環境整備が必要である。

・一定規模以下の事業者の行う1万円未満の取引につき、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策が講じられたほか、1万円未満の返還インボイスについて交付義務を免除する措置が講じられました。

 

[相続税・贈与税]

1.相続時精算課税制度

法人会の提言

改正の概要

・相続時精算課税制度の特別控除額(2,500万円)を引き上げる。

・相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとなりました。また、相続時精算課税で受贈した土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合、相続時にその課税価格を再計算する見直しが行われました。

 

[その他]

1.震災復興等

法人会の提言

改正の概要

・被災者支援の観点から、災害による損失を雑損控除と切り離した、新たな控除制度の創設について検討すべきである。

・特定非常災害法上の特定非常災害による損失に係る雑損失の繰越期間について、損失の程度や記帳水準に応じ、例外的に3年から5年に延長されました。

 

2.電子帳簿保存

法人会の提言

改正の概要

・インボイス制度や電子帳簿保存法の改正による電子データ保存の義務化に対応するなど、事業者の事務負担、納税協力コストは年々増加している。特に電子データ保存の義務化については、全ての事業者が対象となっており影響は大きい。システム改修や従業員教育など、事務負担が増大する中小企業に対して特段の配慮が求められる。

・電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことにつき相当の理由がある事業者等に対する新たな猶予措置(電子取引データの出力書面の提示・提出の求め及びその電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、保存要件を不要として、電子取引データの保存を可能とする)が講じられるとともに、検索機能の確保の要件について緩和措置が講じられました。

 

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