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法人会「平成29年度税制改正に関する提言」

平成29年度税制改正に関する提言(要約)  全国法人会総連合
平成29年度税制改正スローガン
○経済の再生と財政健全化を目指し、歳出・歳入の一体的改革を!
○適正な負担と給付の重点化・効率化で、持続可能な社会保障制度の確立を!
○中小企業の重要性を認識し、活性化に資する税制措置の拡充を!
○中小企業にとって事業承継は重要な課題。本格的な事業承継税制の創設を!

≪基本的な課題≫
Ⅰ. 税・財政改革のあり方

1. 財政健全化に向けて                                          
○消費税率10%への引き上げ再延期は、2017年4月から2019年10月へと
2年半の大幅なものとなった。これにより、我が国の財政健全化目標には狂いが生じ
ることになった。
○国民の将来不安を増幅させないためには、財政規律を引き締め直し、改めて歳出、
歳入両面からの強力な改革が求められる。
(1)消費税率10%への引き上げは、財政健全化と社会保障の安定財源確保のため
に不可欠である。国民の将来不安を解消するために、「社会保障と税の一体改革」の
原点に立ち返って、2019年10月の税率引き上げが確実に実施できるよう、経済
環境の整備を進めていくことが重要である。
(2)2018年度の財政健全化中間目標の設定に伴い、歳出面では18年度までの
3年間で政策経費の増加額を1.6兆円(社会保障費1.5兆円、その他0.1兆円)程
度に抑制する目安を示した。今回の骨太の方針では、消費税率引き上げ延期で中間目
標数字への言及がなかったが、この政策経費の抑制は確実に行うべきである。
(3)財政健全化は国家的課題であり、歳出、歳入の一体的改革によって進めること
が重要である。歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出につい
ては、聖域を設けずに分野別の具体的な削減の方策と工程表を明示し、着実に改革を
実行するよう求める。

2.社会保障制度に対する基本的考え方                             
○持続可能な社会保障制度の構築は喫緊の課題であり、「給付」を「重点化・効率化」
によって可能な限り抑制するとともに、適正な「負担」を確保する必要がある。
(1)年金については、「マクロ経済スライドの厳格対応」「支給開始年齢の引き上
げ」「高所得高齢者の基礎年金国庫負担相当分の年金給付削減」等、抜本的な施策を
実施する。
(2)医療については、成長分野と位置付け、大胆な規制改革を行う必要がある。
給付の急増を抑制するために診療報酬(本体)体系を見直すとともに、ジェネリック
の普及率80%以上を早期に達成する。
(3)介護保険については、制度の持続性を高めるために真に介護が必要な者とそう
でない者にメリハリをつけ、給付のあり方を見直す。
(4)生活保護については、給付水準のあり方などを見直すとともに、不正受給の防
止などさらなる厳格な運用が不可欠である。
(5)少子化対策では、現金給付より保育所や学童保育等を整備するなどの現物給付
に重点を置くべきである。なお、子ども・子育て支援等の取り組みを着実に推進する
ためには安定財源を確保する必要がある。
(6)企業の過度な保険料負担を抑え、経済成長を阻害しないような社会保障制度の
確立が求められる。

3.行政改革の徹底                                     
○「行革の徹底」には、地方を含めた政府・議会が「まず隗より始めよ」の精神に基
づいて自ら身を削ることが何より必要である。
(1)国・地方における議員定数の大胆な削減、歳費の抑制。   
(2)厳しい財政状況を踏まえ、国・地方公務員の人員削減と、能力を重視した賃金
体系による人件費の抑制。
(3)特別会計と独立行政法人の無駄の削減。
(4)積極的な民間活力導入を行い成長に繋げる。
(5)消費税についてはこれまで主張してきたとおり、税率10%程度までは単一税
率が望ましいが、政府は税率10%引き上げ時に軽減税率制度を導入する予定として
いる。仮に軽減税率制度を導入するのであれば、これによる減収分について安定的な
恒久財源を確保するべきである。
(6)国債の信認が揺らいだ場合、金利の急上昇など金融資本市場に多大な影響を与
え、成長を阻害することが考えられる。市場の動向を踏まえた細心の財政運営が求め
られる。

4.消費税引き上げに伴う対応措置                             
○軽減税率は何と言っても事業者の事務負担が大きいうえ、税制の簡素化、税務執行
コストおよび税収確保などの観点から問題が多く、税率10%程度までは単一税率が
望ましいことを改めて明確にしておきたい。
○税率引き上げに向けては消費税制度の信頼性と有効性を確保する観点からも、以下
の対応措置が重要である。
(1)現在施行されている「消費税転嫁対策特別措置法」の効果等を検証し、中小企
業が適正に価格転嫁できるよう、さらに実効性の高い対策をとるべきである。
(2)消費税の滞納防止は税率の引き上げに伴ってより重要な課題となる。消費税の
制度、執行面においてさらなる対策を講じる必要がある。

5.マイナンバー制度について

6.今後の税制改革のあり方

Ⅱ.経済活性化と中小企業対策                     

1.法人実効税率について                                    
○OECD加盟国の法人実効税率平均は約25%、アジア主要10カ国の平均は約22
%となっており、これらと比較すると依然として税率格差が残っている。当面は今般
の法人実効税率引き下げの効果等を確認しつつ、将来はさらなる引き下げも視野に入
れる必要がある。

2.中小企業の活性化に資する税制措置                             
(1)中小法人に適用される軽減税率の特例15%を時限措置(平成29年3月31日
まで)ではなく、本則化する。なお、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限
を延長する。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適
用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。
(2)租税特別措置については、税の公平性・簡素化の観点から、政策目的を達したも
のや適用件数の少ないものは廃止を含めて整理合理化を行う必要はあるが、中小企業の
技術革新など経済活性化に資する措置は、以下のとおり制度を拡充し、本則化すべきで
ある。なお、中小企業投資促進税制の適用期限が平成29年3月31日までとなってい
ることから、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。
①中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。 
②少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例については、損金算入額の上限(合計
300万円)を撤廃する。
(3)中小法人課税について、適用される中小法人の範囲(現行 資本金1億円以下)
を見直すことが検討されているが、資本金以外の「他の指標(例えば、所得金額や売上
高)」を使用した場合、毎年度金額が変動する、業種や企業規模によってそれぞれ指標
を定める必要がある等、経営面で混乱が生じることが予想される。このため、中小企業
の活力増大と成長の促進に資する観点からも慎重に検討すべきである。

3.事業承継税制の拡充                                  
○我が国企業の大半を占める中小企業は、地域経済の活性化や雇用の確保などに大きく
貢献しており、経済社会を支える基盤ともいえる存在である。その中小企業が相続税の
負担等により事業が継承できなくなれば、我が国経済社会の根幹が揺らぐことになる。
(1)事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設事業に資する相
続については、事業従事を条件として他の一般財産と切り離し、非上場株式を含めて事
業用資産への課税を軽減あるいは控除する、欧州並みの本格的な事業承継税制の創設が
求められる。
(2)相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実
①株式総数上限(3分の2)の撤廃と相続税の納税猶予割合(80%)を100%に引
き上げる。
②死亡時まで株式を所有しないと猶予税額が免除されない制度を、5年経過時点で免除
する制度に改める。
③対象会社規模を拡大する。
(3)親族外への事業承継に対する措置の充実
(4)取引相場のない株式の評価の見直し
円滑な事業承継に資する観点から、比較対象となる上場株式の株価のあり方や比準要素
のあり方を見直すことが必要である。

Ⅲ.地方のあり方                 

○地方活性化には、国と地方の役割分担を見直し、財政や行政の効率化を図る地方分権
をさらに進めねばならないが、同時に現在推進中の地方創生戦略の深化も極めて重要で
ある。その共通理念として指摘しておきたいのは、地方の自立・自助の精神である。
○ふるさと納税制度で一部に見られるような換金性の高い商品券や高額または返礼割合
の高い返礼品を送付するなどの過度な競争には問題があり、適切な見直しが必要である。
○異常な水準にまで悪化した我が国財政を考えると、国だけでなく地方の財政規律の確
立も欠かせない。とくに、国が地方の財源を手厚く保障している地方交付税の改革をさ
らに進め、地方は必要な安定財源の確保や行政改革についても、自らの責任で企画・立
案し実行していく必要がある。
(1)地方創生では、さらなる税制上の施策による本社機能移転の促進、地元の特性に
根差した技術の活用、地元大学との連携などによる技術集積づくりや人材育成等、実効
性のある改革を大胆に行う必要がある。
(2)広域行政による効率化の観点から道州制の導入について検討すべきである。基礎
自治体(人口30万人程度)の拡充を図るため、さらなる市町村合併を推進し、合併メ
リットを追求する必要がある。
(3)地方においても、それぞれ行財政改革を行うために、民間のチェック機能を活か
した「事業仕分け」のような手法を広く導入すべきである。
(4)地方公務員給与は、国家公務員給与と比べたラスパイレス指数(全国平均ベース)
が是正されつつあるものの、依然としてその水準は高く、適正水準に是正する必要があ
る。そのためには国家公務員に準拠するだけでなく、地域の民間企業の実態に準拠した
給与体系に見直すことが重要である。
(5)地方議会は、大胆にスリム化するとともに、より納税者の視点に立って行政に対
するチェック機能を果たすべきである。また、高すぎる議員報酬の一層の削減と政務活
動費の適正化を求める。行政委員会委員の報酬についても日当制を広く導入するなど見
直すべきである。

Ⅳ.震災復興 

○東日本大震災については、本年4月から「復興・創生期間(平成28年度~32年度
)」に入ったが、被災地の復興、産業の進展はいまだ道半ばである。今後の復興事業に
当たってはこれまでの効果を十分に検証し、予算を適正かつ迅速に執行するとともに、
原発事故への対応を含めて引き続き、適切な支援を行う必要がある。また、被災地にお
ける企業の定着、雇用確保を図る観点などから、実効性のある措置を講じるよう求める。
○本年4月に起こった熊本地震についても、東日本大震災の対応などを踏まえ、適切な
支援と実効性のある措置を講じ、被災地の確実な復旧・復興の実現に向けて取り組まね
ばならない。
○今後も大規模な災害が発生すると予想されていることから、「大規模自然災害を想定
した税制」の整備について検討することも必要であろう。

Ⅴ.その他
1.納税環境の整備

2.租税教育の充実

≪税目別の具体的課題≫
法人税関係                    
1.役員給与の損金算入の拡充
(1)役員給与は原則損金算入とすべき
(2)同族会社も利益連動給与の損金算入を認めるべき

所得税関係                   
1.所得税のあり方
(1)基幹税としての財源調達機能の回復
(2)各種控除制度の見直し
(3) 個人住民税の均等割

相続税・贈与税関係                  
1.相続税の負担率はすでに先進主要国並みであることから、これ以上の課税強化は行
うべきではない。
2.贈与税は経済の活性化に資するよう見直すべきである。
(1)贈与税の基礎控除を引き上げる。
(2)相続時精算課税制度の特別控除額(2,500万円)を引き上げる。

地方税関係                                 
1.固定資産税の抜本的見直し
(1)商業地等の宅地を評価するに当たっては、より収益性を考慮した評価に見直す。
(2)居住用家屋の評価は経過年数に応じた評価方法に見直す。
(3)償却資産については、「少額資産」の範囲を国税の中小企業の少額減価償却資産
(30万円)にまで拡大する。また、将来的には廃止も検討すべきである。
(4)国土交通省、総務省、国税庁がそれぞれの目的に応じて土地の評価を行っている
が、行政の効率化の観点から評価体制は一元化すべきである。
2.事業所税の廃止
3.超過課税
4.法定外目的税

その他
1.配当に対する二重課税の見直し
2.電子申告