お知らせ

令和3年度税制改正に関する提言

コロナ禍の中小企業を救う「税制措置」と未来のための「財政健全化」を求めます!
-令和3年度税制改正提言-

中小企業を中心として全国約80万社の会員企業で構成される“経営者の団体”「公益
財団法人全国法人会総連合(略称:全法連)」は、9月24日開催の理事会において
「令和3年度税制改正提言」を決議しました。
地域経済と雇用の確保の担い手である中小企業は、新型コロナウイルスの影響により、
厳しい局面に立たされています。まずは、経営実態等を見極めながら、中小企業が事
業を継続するために必要な支援策や税制措置を講じることを強く求めています。
また、我が国財政は地方を合わせた長期債務残高が1,100兆円を超し国内総生産
(GDP)の2倍と、先進国の中で突出して悪化していますが、そこに今回の新型コ
ロナ対策による多額な債務が上乗せされました。
我が国は先進国で最速のスピードで少子高齢化が進み、かつ人口が減少するという
極めて深刻な構造問題を抱えています。このため、将来世代に負担を先送りしないよ
う財政健全化にも配慮することとし、社会保障制度の基本的考え方や、国・地方を通
じて徹底した行財政改革の推進などについても提言しています。
この提言に基づき、全法連は政府・政党に、各地の法人会からは、それぞれの自治体
などに対して提言活動を行ってまいります。

令和3年度税制改正に関する提言(概要)
Ⅰ 税・財政改革のあり方
1.新型コロナウイルスへの対応と財政健全化
新型コロナの影響は長期化の様相を見せており、資金力の弱い中小企業はすでに限界
にきている。その経営実態等を見極めながら、雇用と事業と生活を守るための支援策
を引き続き講じていく必要がある。また、新型コロナ拡大の収束を見据えつつ、税制
だけでなくデジタル化への対応や大胆な規制緩和をスピード感をもって行うなど、日
本経済の迅速な回復に向けた施策を講じる必要がある。なお、財政健全化は国家的課
題であり、コロナ収束後には本格的な歳出・歳入の一体的改革に入れるよう準備を進
めることが重要である。
2.社会保障制度に対する基本的考え方
持続可能な社会保障制度を構築するには、適正な「負担」を確保するとともに、「給
付」を「重点化・効率化」によって可能な限り抑制することが必須である。また、社
会保障のあり方では、「自助」「公助」「共助」の役割と範囲を改めて見直すほか、
公平性の視点も重要である。
3.行政改革の徹底
地方を含めた政府と議会は「まず隗より始めよ」の精神に基づき自ら身を削るなど
行政改革を徹底しなければならない。
4.マイナンバー制度
マイナンバー制度は、すでに運用を開始しているが、マイナンバーカードの普及率が
低いなど、国民や事業者が正しく制度を理解しているとは言い難い。それは今般の新
型コロナ対策でも給付金申請手続きの混乱などで明らかになった。政府は制度の意義
等の周知に努め、マイナンバーカードを活用する仕組みづくりに本腰を入れる必要が
ある。

Ⅱ 中小企業が事業継続するための税制措置
1.法人税関係
中小企業は地域経済の担い手であるだけではなく、我が国経済の礎である。グローバ
ル経済や厳しい環境変化に対応し、その存在感を維持できるような税制の確立が求め
られる。そうした中で、中小企業は新型コロナ拡大による深刻な影響を受け不安が増
幅している。さらに、自然災害による被害も多発するなど中小企業を取り巻く環境は
一段と厳しさを増しており、事業を継続していくための税制措置の拡充等が必要であ
る。
(1) 中小法人に適用される軽減税率の特例15%の本則化、適用所得金額の引上げ。
(2)「中小企業投資促進税制」、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
措置」の拡充、本則化。
(3)「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」の延長、拡
充。等
2.消費税関係
消費税は社会保障の安定財源確保と財政健全化に欠かせないが、昨年10月に導入さ
れた軽減税率制度は事業者の事務負担が大きいうえ、税制の簡素化、税務執行コスト
および税収確保などの観点から問題が多い。
このため、かねてから税率10%程度までは単一税率が望ましく、低所得者対策は
「簡素な給付措置」の見直しで対応するのが適当であることを指摘してきた。国民や
事業者への影響、低所得者対策の効果等を検証し、問題があれば同制度の是非を含め
て見直しが必要である。
(1)現在施行されている「消費税転嫁対策特別措置法」は、令和3年3月末日をも
って適用が終了することとなっている。今般の新型コロナにより、中小企業が多大な
影響を受けていることを考慮すると、同特別措置の適用期限を延長するとともに、中
小企業が適正に価格転嫁できるよう、さらに実効性の高い対策をとるべきである。
(2)令和5年10月からの「適格請求書等保存方式」導入に向け、令和3年10月
より「適格請求書発行事業者」の登録申請がはじまる。こうした中で新型コロナの拡
大が特に小規模事業者等の事業継続に多大な影響を与えている。これら事業者が事務
負担増等の理由により廃業を選択することのないよう、現行の「区分記載請求書等保
存方式」を当面維持するなど、弾力的な対応が求められる。 等
3.事業承継税制関係
我が国企業の大半を占める中小企業は、地域経済の活性化や雇用の確保などに大きく
貢献している。中小企業が相続税の負担等によって事業が承継できなくなれば、経済
社会の根幹が揺らぐことになる。平成30年度の税制改正では比較的大きな見直しが
行われたが、さらなる抜本的な対応が必要と考える。
(1)事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設
(2)相続税、贈与税の納税猶予制度の充実
4.地方税関係
(1)固定資産税の抜本的見直し
(2)事業所税の廃止 等
Ⅲ 地方のあり方
今般の新型コロナウイルス拡大は、東京一極集中のリスクを浮き彫りにする一方、地
方分権化と広域行政の必要性も改めて問いかけることになった。そもそも地方分権化
は国と地方の役割分担を見直し、財政や行政の効率化を図ることであり、地方活性化
の観点からも重要であることが指摘されてきた。これを機に分権化の議論がさらに高
まることを期待したい。

※税制改正に関する提言書の全文は、全法連ホームページに掲載しておりますのでご
覧ください。

《法人会とは》
私たち法人会は、中小企業を中心として全国約80万社の会員企業を擁する団体です。
41都道県に440の単位法人会が組織され、創設以来70年にわたり、国の根幹と
もいえる「税」の分野を中心とした活動を全国的に展開し、申告納税制度の維持・発
展に寄与してまいりました。近年は、我が国の将来を見据えた税の提言や各種研修会
の開催、地域社会貢献活動に加え、次代を担う児童への租税教育や税の啓発活動、さ
らには企業の税務コンプライアンス向上に資する取り組みにも力を注いでいます。